自主映画上映会レポート
結論:15,000円の赤字だったけど満足度は120%でした


スキルボート早稲田の千野です。私は2014年12月に、仲間とドキュメンタリー映画「隣る人」の自主上映会を実施しました。上映会の企画・運営は初めての経験でした。参加者120名というささやかな上映会。しかし、それはとても楽しい経験で、企画から上映当日までが充実の日々でした。それでこんな楽しいことをもっと多くの人にも経験してもらいたいと思い、自分の経験をブログにしてみました。世の中の「上映会をやりたい」と思っている人に少しでも役に立てば幸いです。

記事は上映会の一連の工程をまとめた上で、出来る限り順を追って書いて行きます。その時々で考えたこと、後からこうすればと思ったことなどを付け加えております。すべて自分の地元の新宿区でのことなので、他の地域にそのまま当てはまらないことが多いかもしれません。

cp.1 企画段階でやったこと


映画をみる

私が「隣る人」と出会ったのは2012年の6月、東中野のドキュメンタリー映画専門館「ポレポレ東中野」でした。この映画に感動したのは言うまでもありませんが、感動すると知人に観てもらいたくなりますよね。

ところが、こうした国内制作のドキュメンタリー映画の多くは単館上映であり、上映期間も短いのです。さらに「隣る人」は、児童が画面に映っていることから人権に配慮し、DVDなどのメディア販売をしません。誰かにこの映画を観せたいとか、自分でもう一回観たいのであれば自分で自主上映会をやるしかありません。

「自主上映会か…」と考えつつそれから1年半が過ぎていました。やがて「このままでは思っているだけで終わってしまう」と焦り、具体的な行動を始めたのは1年半後のこと。具体的に何をしたのかと言うと、周囲の知人に「やりたい」「やる」と口にすることでした。


映画の制作者とコンタクト

それから上映会に向けて情報収集することにしました。「隣る人」の公式ウェブに「自主上映」のページがあり、申し込み方法や料金についての記述があります。それで収支や来場者の見積もりなどペーパー上でシミュレーション。この段階では夢と不安が交互にあります。子育て活動で知り合ったあの人や、社会問題に意識のあるあの人が見てくれたら、しかし、実際どのくらいの人が来てくれるのか、もし赤字になったらどうするのかなど。

そのうちに大井町で、しながわチャイルドラインという団体が「『隣る人』上映とトーク」というイベントをやることが分かり、これに行ってみることにしました。それは大きな会場で、聞いたところによると600人ほどの来場があったそうです。満足度の高い、すばらしいイベントでしたが、それにもましてよかったことは、「隣る人」企画者の稲塚さんと話ができたことです。

ほんの立ち話でしたが、稲塚さんに「新宿区でやりたいと思っている」と伝え、名刺交換することができました。「相談があればいつでも連絡して」と言ってもらえたのが心強かったです。


協力者を探す

さて、この段階では私はまだひとりで動いていました。あるイベントでトークをする機会があり、そこで「上映会をしたいと思っている」と話したところ、参加者のひとりが「どんな映画ですか、協力しますよ」と言ってくれたのです。それは、この上映会で共催してくれることになったCAPユニットのMさんです。

上映会後のうちあげで、Mさんに「あのとき協力すると言ったのは、その他大勢のひとりとしてのつもりだった」と打ち明けられるのですが、Mさんは名実ともに共同企画者としてあちこちの打合せに同行してくれたり、アドバイスをくれたりしました。ひとりではなく誰かとイベントをやるというのは心強いもので、どれだけ助かったかしれません。


企画書をつくる

さて、上映会が具体化してくると区役所や社協に話をすることになり、そのためには企画書が必要になります。それでメモだったものをベースに企画書を書いてみました。

企画書は大体、A4ペーパー2〜3枚で以下の項目に沿ってまとめました。実施要項や共催、後援はこの時点では不明なので予定としました。予定の項目は(予定)と明記する必要があります。

  • タイトル
  • 日付
  • 団体名
  • 概要
  • 実施要項(日時、会場、料金、人数など)
  • 収支計画
  • 体制(主催、共催、後援など)
  • 前回の実績(あれば)
  • 連絡先
  • 団体について


ファイルを参照


予算計画をつくる

企画書には予算書が必須です。公的機関の協力や助成を受けるためには、信頼の置ける決算をしている、あるいはする団体であることを納得してもらわなければなりません。その証拠のひとつが予算計画です。

予算計画には必要な経費と予想される収入を表にして、その差額を明示します。


ファイルを参照

経費の項目は、見積書や料金表などの算出根拠資料が必要です。近ごろではアマゾンで商品ページを印刷してこれに使用することもあります。

収入は上映会参加料の合計と助成金、協賛金などになります。新宿区は利益のあるイベントは後援の対象外でした。また、新宿社協の助成も黒字のイベントはダメでした。マイナス(赤字)にするか、ちょうど0にするなどの調整が必要になります。


団体概要をつくる

同じくイベントを主催する団体についての資料が必要です。私は以前から小規模に活動しているスキルボート早稲田で映画上映会を主催することにしました。

団体の概要は大体、A4ペーパーで2〜3枚です。必要な項目は以下です。

  • 団体の目的
  • 団体の概要(名称、所在地、連絡先、設立年月日、会員数)
  • 会則
  • 会員名簿
  • 活動実績


ファイルを参照

区役所が後援依頼を審査するとき、会則に「入退会は自由であること」「特定の政治団体や宗教団体に関係がないこと」をチェックします。また、会員の3分の2以上が区内に住所があるか通勤していなければなりません。なので会員名簿には会員住所の記載が必要です。


後援を申請

さて、企画書、予算計画、団体概要ができましたので区役所に後援申請に行きました。

自治体(市や区)の後援はあると便利ですのでぜひともとってください。例えば、チラシを施設や学校に設置してもらうとき「区の後援があります」というだけで対応が違います。また、地域センターのホールを予約するときもそうです。自治体によっては後援事業枠というのがあって、優先的に会場を予約できるかもしれません。

新宿区の地域センターには後援事業向け料金が設定されています。これだと登録団体料金のさらに半額になります。

後援申請は、正式には「後援名義使用の許可申請」と言います。区役所の窓口に行って、「後援名義使用を申請したい」と言うと担当者が相談にのってくれます。そのときの窓口は映画の内容に関連する部署に行くべきです。例えば学校についての映画であれば教育委員会、保育園についてであれば保育課などです。ただし、どの部署から後援が出ても「後援:◯◯区」となります。

企画書、予算計画、団体概要を持って窓口で事業について説明し、もし可能性があれば申請書を渡されます。その場でOKと言われることはありません。その時に注意されたのが前記の「イベントには利益が出ないこと」ということです。収益の出ることに区役所が便宜をはかることはできない、というのが区役所の基本的な考え方です。

申請書を後日郵送したら、1週間後に審査結果が送られて来ました。「後援名義使用の許可証」という書類です。

さて、後援を受けるとイベントについての説明責任が生じます。主催者はイベントが終了したらすみやかに区役所に報告書を送らなければなりません。また、日時や会場などが変更になったら、判明した時点でその旨を連絡しなければなりません。

私は会場の抽選に外れて予約日が翌日になってしまったので、再度許可証を発行してもらいました。また、チラシは印刷する前に担当部署にチェックしてもらわなければなりません。

cp.2 収支計画と助成金を考える


参加人数を見積る、決める

話題が前後しますが、本来なら収支計画を考える時に決めなければならない収入と支出について考えます。まず収入についてですが、収入の基本は上映会参加費×参加者数です。

「隣る人」の場合はファンが多い割には上映会が少ないので適切に広報すればそれなりの来場は見込める。しかし、だからといって500人は無理ではないか。また、会場に予定していた戸塚地域センターの定員が160名なので、120名が適切ではないかと結論づけました。

新宿区には区民ホールという300〜600名クラスのもっと大きい会場もあるのですが、利用料金が60,000〜90,000円とかなり高額(地域センターは7,000円前後)。また、トークは顔の見える距離でアットホームに行いたいという希望もありました。


参加料金はいくらにするか

一方、参加料金ですが、配給会社に支払う「隣る人」の上映料金は以下のようになっています。

ということは、仮に1人500円で参加者数が120人だとすると、支払金額は(基本料金:50,000円+(20人×500円))で60,000円となります。これを1,000円にしてその他経費(会場やチラシ印刷など)をカバーするという方法もあります。私はいろいろな自主上映会を見に行ってますが、参加費は1,000円であることが多いように思います。

私はできるだけ多くの人にこの映画を見てもらいたいと思ったので500円に設定しました。特に学生など若い人に気軽に来ていただきたいのでワンコインにこだわりました。映画を観て、帰りにカフェでお茶して1,000円という気軽さがちょうどいいと思っています。


助成金を申請

収入については参加料とは別に助成金や協賛金があります。2014年の上映会である団体の助成金を申請しましたが、採択されませんでした。実は今年(2015年)も同じ「隣る人」の上映会をやろうと企画しており、助成金の申請をしております。その経験から少し書きます。

世の中にはいろいろな助成制度があるのですが、分野とか団体規模によってさまざまです。「隣る人」上映会は小規模(120名)であり、対象も新宿区の住民となっております。助成希望額も50,000円です。この程度の規模であれば新宿区社会福祉協議会の「地域ささえあい活動助成金」が適当だと考えました。

この結論を出すまでにはいろいろな方法で情報収集しましたが、一番役に立ったのは飯田橋にある東京ボランティア・市民活動センターの窓口です。やはり企画書を持って行き、「こんな活動をやろうと思っているのだけど、助成金について教えてくれませんか」とたずねたところ、きちんと教えてくれました。

さて、新宿社協ですが、同じように窓口でたずねたら担当の方を呼び出してくれました。その方にその場で申請書の書き方などをアドバイスしていただき、後日再訪しました。そのときは予算書の書き方についてかなり詳細なアドバイスをいただきました。地域から集めたお金なので有意義に使う必要がある、説明責任もあるということで認可には綿密な審査があるということです。

私は最終的な申請書類を提出するまでに5回社協の窓口に行きました。その度にきちんと応対してくれた担当の方たちには感謝しています。

「地域ささえあい活動助成金」申請のポイントは以下です。

  • 助成金額は全体予算の50%であること
  • イベント単体にかかる予算であること(団体の運営にかかる予算はダメ)
  • 講師謝礼は講師の立場によって金額が決まっている
  • 収支は0円にする

今年の4月中に申請書類を提出しましたので、審査は5月末、6月半ばに結論の連絡があるそうです。

7月初頭に新宿社協から連絡があり、審査の結果、満額助成が決まったそうです。ありがとうございました。

cp.3 広報と集客について


チラシの作成

イベントの告知はネットが主流という声もありますが、手元に持ってあれこれ見ることができるチラシは今でも有効な広報手段だと思います。そのためには適切な入手経路と分かりやすく見て楽しいデザインであることが大事です。できれば、デスクのそばに貼って眺めてもらえるようなものがいちばんです。


ファイルを参照

「隣る人」の企画者稲塚さんにチラシに使える写真素材を送ってくださいとお願いしたら、すぐにメールに添付して送ってくれました。それを使ってInDesignというレイアウトソフトでデザインをしました。たまたま私がこうしたソフトに慣れているので使いましたが、もちろんワードやパワポでもいいでしょう。意外と手書きチラシのほうが好感度が高いとも言われています。

大事なのは必要な情報が見やすく表示されていることです。チラシに必要な項目は以下です。これだけを大きい字で分かりやすく書くことを意識すればいいのではないでしょうか。

  • タイトル
  • 概要
  • 日時
  • 場所
  • 料金
  • 申し込み方法
  • 連絡先

印刷はネットで申し込みするとかなり低価格になります。私は東京カラー印刷という会社を見つけてデータ入稿しました。8日後に完成。A4表カラー、裏モノクロ、3,000枚で約6,000円でした。


チラシの配布

さて、チラシができたら配布しなければなりません。子育て世代が行きそうな施設を検討して、具体的には以下を選定しました。

  • 子ども家庭支援センター(区内5箇所)
  • 児童館(区内15箇所)
  • 図書館(区内10箇所)
  • 区役所の教育委員会、子ども家庭部の窓口
  • 特別出張所(区内10箇所)

チラシ配布予定リスト

特別出張所は後援の担当部署を通じて区役所の交換便で送ってもらいました。

チラシの配布は知人にチラシの束を渡して、こことあそこをよろしくとお願いしました。私も自分で児童館や図書館などに行きましたが、各施設3分位、自転車で10箇所まわって1時間位です。

施設でお願いするときは新宿区の後援が効果的で、「新宿区に後援されているイベントなのですが、チラシを置かせてくれませんか」というと、どこも気持ちよく受け取ってもらえます。ただ、すでにチラシがたくさんあって「30枚はいらない20枚でいい」という声もありました。

ところで、たまたま思いついて高田馬場駅近くの保育関連の専門学校に行きました。そこでチラシを置いてもらえないかと聞いたところ、対応してくれた人が「隣る人」を知っており、気持よく受け取ってもらえました。これが意外と大きな反響につながり、この学校の生徒さんがかなりの数で来てくれたのです。みな真剣に鑑賞してくれました。思いつきでもやってみるものだなと思いました。

チラシの設置は10月半ばから始めたのですが、上映会当日は12月20日。いまから考えると、10月にチラシを手にとっても12月の予定は不明である人が多いので、やや早すぎたようです。あとで考えようとしまっておくとなくなっている…。なので12月初頭にラックにあるくらいがちょうどいいのかもしれません。


facebookページをつくる

いまどきだとイベントの告知はネットでというのが当たり前になっています。facebookイベントにしようか、Twitterにしようかと考えたのですが、活動の記録をタイムラインとして残すためにfacebookページにしました。

https://www.facebook.com/tonaru.hito.shinjuku

最初のポストから見ていただくと分かるのですが、最初に私が「隣る人」を見たのがタイムラインの始まりになっています。そして活動をするごとにポストがあり、辿って行くと活動の進捗が見えるようになっています。

私は以前から、イベントをするのならやって終わりではなく、活動のアーカイブをするべきと思っていました。イベントは1回限りのものですが、市民活動はどう活動したかという経緯も重要だと考えるからです。その点でタイムラインで活動の流れを記録できるfacebookページは理想的なアーカイブツールでした。

一方で広報的効果ですが、facebookページ経由で上映会のことを知ったという方もそれなりにいました。また、多くの方がfacebookページで準備が進むのをみて、期待を高めてくれたらしくポストするたびにイイネしてくれる常連さんもあらわれました。

ボランティア団体にとって、新しいニュースを伝える方法はネット以外にはありません。この上映会では、11月の半ばになって託児を受け付けられることになり、facebookページで告知しました。また、11月終盤に定員がいっぱいになってしまったこともfacebookページで告知できました。


ニュースリリースを出す

新聞や雑誌などのマス・メディアは効果的ですがお金がかかります。でも、広告費は出せないが、記事やガイド欄の掲載なら無料です。どのメディアにもプレス・リリースの受け付け窓口がありますので、これに投稿し、もし掲載されればもうけものくらいに考えておくのがいいと思います。

私も日経新聞、毎日新聞、朝日新聞などにニュースリリースを送りました。先方には毎日大量に届くらしいので担当者の目にとまるのはかなり確率が低いでしょう。

そのうち一紙だけ返事がありました。イベントガイドのページに掲載してもいいとのことです。しかし、愛読者招待席を20席用意してほしいとのこと。よく考えてお断りしました。何日かの連続上映であれば20席のマイナスは補えますが、1回120席のみの上映ですので意味はないとの判断です。

私たちはそんな結果でしたが、それでも掲載されたら効果は大きいし、プレス・リリースを送ってもコストはかからないのでやっておくべきだと思います。


「広報しんじゅく」へ掲載

いろいろな経験から「広報しんじゅく」は効果的だと思っていました。自治体の広報誌はどこにもあると思うのですが、考えてみるとすごく有力なメディアですね。新聞の折込によって区内のすべての家庭に送られる(新聞をとっていれば)。区の施設にはかならず設置される。新宿区ではたぶん全人口33万人の50%にはリーチするのではないでしょうか。


広報しんじゅく(2014.12.5号)「隣る人」上映会の記事は6ページに掲載

ボランティア団体がこれに掲載されるのは、1年に1回限りという決まりがあります。しかし、区の後援があれば優先的に掲載可能。この点でも区の後援は最初にいただいておくべきという理由がありますね。

広報しんじゅく「区民のひろば」掲載申し込みについて

私も後援を担当してくれた部署を通じて「広報しんじゅく」への掲載をお願いし、12月最初の週に掲載されました。

残念だったのは、その時点では定員に達していたことです。そこで「広報しんじゅく」用に急遽追加受付枠20席をもうけましたが、掲載日の午前中には埋まってしまいました。すごい効果。次回はタイミングを調整しながら、もっと効果的に「広報しんじゅく」を使おうと思っています。

cp.4 申し込みの受付


申込受付方法はどうするか

チラシやネット広報もすすみ、そろそろ申し込み受け付けをしなければならなくなりました。どのような方法で受け付けをしようかといろいろと考えましたが、結局、ウェブとメールのみにしました。

受け付け作業はキャンセルの対応が意外と多く、ルートが多いと煩雑になるのです。それでルートを絞るべきと考えました。

また、こちらからお申し込みの方への連絡ルートを確保するためにもメールアドレスを聞いておくことは必要です。例えば、「当日が大雪で上映中止になった」などの連絡をすることを考えると、一斉連絡する方法は確保しておきたいものです。

パソコンや携帯、スマホのない人のことを考えてファクシミリということも考えたのですが、家で100人以上から受信することを考えて止めました。留守中に用紙切れにならないようにいつも待機とか、受信確認のために再送信しなくてはならない、など負担が大きすぎるのです。


ウェブでの受付

ウェブはメールフォームサービスのWuFooを使いました。これのいいところは無料でありながら確認メールで返信できる、データをエクセル形式でダウンロードできるなど、必要な機能が揃っていることです。確認メールは、WuFooで申し込みすると、直後にその内容がメールで返信され、申し込んだ方はしっかり申し込みできたと確認できるという仕組みです。

http://www.wufoo.com

WuFooの使いかたはこちらを参照

申し込みページは「隣る人」上映会公式ページからリンクしました。

http://www.skill-boat.org/th

最初は申し込みがスローでしたが申し込みボタンに「残り◯◯席」と表示したところ反応がぐっとアップしました。


メールでの受付

いまどきでは高齢者でも携帯電話でメールはできると考えてもいいと思います。メールでの申し込みは、チラシにメールアドレスを記載し、以下のように注意書きしました。

  • メールのタイトルを「隣る人申し込み」としてください
  • 本文に申込者の氏名、すべての同行者の氏名、合計人数を書いてください

受け付けが始まってからは、WuFooの申し込み数とメールの申し込み数を毎日カウントしてエクセルで定員を確認しました。会場で定員が定められており、消防法でそれ以上の入室はできませんと言われていたので、オーバーしないよう気をつかいました。


ファイルを参照


チケットの販売について

この上映会は予約制・当日支払でしたのでチケットの前売りはありませんでしたが、鳥取の上映会でチケット販売をやっていて少しうらやましいと思いました。

チケットを印刷して地元の大手書店チェーンで販売したそうです。書店で販売とは文化事業らしくていいですね。しかし、チケットの発送、精算などの手間を考えるとかなりスタッフの手間がかかるし、書店の協力がないと難しそうです。あと、おそらく販売マージンが必要になるのではと思います。

ネットでチケット販売という方法も検討しました。PeatixやDoorKeeperというウェブサービスがあり、クレジットカード決済を手軽にできるらしいのです。しかし、この上映会では単価が500円と少額であり、手数料負担が相対的に大きくなる、ネット決済というと学生や高齢者が引いてしまうかもしれない、と考えて導入しませんでした。


メールでリマインド

さて、ウェブとメールで申し込みを受け付けて11月末に定員になりました。そして、上映会当日週(12月第3週)の月曜日にリマインドメールを送りました。最初に申し込みをした方は10月半ばのことになり、忘れられている可能性もあります。また、音沙汰が無いと「本当にやるのか」と不安になってしまうかもしれません。

リマインドメールの内容は以下です。

  • 予定通り実施します
  • キャンセル待ちの方がいますので、キャンセルする方はご連絡を
  • 会場の一部が平場になります。できれば若い方はこちらをご利用ください
  • 受付が混雑しますので早めのご来場
  • お釣りのないようにご用意ください

アンケートで「上映会の運営についてどうですか」という質問で、「案内メールが適当に届いて安心できた」というコメントをいただきました。期待通りに受け止めてくれてよかったと思います。

リマインドメールを送ってから意外とキャンセルについての連絡があり、14人(120人中)からキャンセルしますという連絡がありました。当日になってそれだけの数が空いてしまうことを考えると、やはりリマインドしてよかったです。


キャンセル率

上記にあるように上映会1週間前にリマインドメールを送ったところ、14人からキャンセルの連絡がありました。また、当日になって来なかった人が5人いました。追加予約を含めて130人受け付けて19人のキャンセルですから、キャンセル率は14%となります。

ウェブとメールという気軽な申し込み方法なのでキャンセル率も高いのでしょう。それに当日が悪天候であれば、当日キャンセルはもっと高くなったのかもしれません。興行は水ものである、ということを忘れないでおきたいと思います。


お問合せ対応

チラシにもウェブにも私の個人携帯番号をお問合せ先として掲載しました。それは団体が責任をもって運営しているイベントであることをアピールしたかったからです。

仕事中に電話が鳴り止まなくなったら困るなと心配しましたが、結果からすると3ヶ月半の間に問い合わせは3回でした。内容は「小学生以下がダメな理由」など(あと忘れました)。メールの問い合わせは6件ほど。そんなことからすると、問い合わせ対応はおおむねメールで足りるようです。


個人情報の管理

メールアドレスを保管するにあたってはウェブに以下の注意書きを掲載しました。当たり前の内容ですが、個人情報の管理を配慮していることをアピールする意味で重要だと思います。

  • メールアドレスなど個人情報の取扱について:
    お申し込みにご提供いただきましたメールアドレスとお名前は、本イベントの実施に関わること以外に使用しません。第3者への提供は一切しません。ただし、イベント終了後に報告及び、ご案内の連絡をすることがあります。イベント終了後に個人情報の削除を希望される場合はメールにてご連絡ください。

cp.5 会場の決定と設営・上映


地域センターの予約と抽選

準備期間中、いちばん緊張したのが会場の予約抽選日でした。戸塚地域センターの場合、利用月2ヶ月前の第1土曜日に抽選を行うのです。ここで良い日時に予約が取れるかどうかが集客に大きく関わってきます。

登録団体は抽選会場に行って、申込用紙を書いてから待機。時間になると受付順に裏返したカードを引きます。そのカードの番号が予約の順番なのです。これが若い番号であるほど希望通りの日時に予約をすることができます。私はそのとき何と8番を引きました。ラッキーでした。

それで8番目に予約テーブルに行きましたが、第一希望の土曜日の夜は既に取られていました。仕方なく翌日曜日の夜を予約しました。最高ではありませんが、満足の行く結果になってほっとしました。

それにしても地域センターを会場にする場合は、このように予約の点で不安があります。区民ホールであれば半年前に予約可能ですが、金額がかなり違う。民間のホールも同じくです。低予算の自主上映会企画は、このように会場をどうするかが大きな課題です。

最近ではカフェや倉庫、空き地などのオルタナティブスペースという選択肢もあります。お寺というのも注目されています。先日行った逗子映画祭は夜の浜辺でした。今後はちょっと変わったスペースでの上映会もやってみたいと思っています。

ちなみに、会場と日時の決定は、cp.3とかcp.4より前のことです。広報や受け付けを開始したのは、もちろん日時が決まってからのことです。


会場設営テスト、収容人数の決定

会場が決まったら上映会の現場をチェックをする必要があります。

会場の定員としては160名とされているのですが、実際には椅子を並べて、スクリーンが見えるかどうかを確認しなければなりません。地域センターの会場は「多目的ホール」であって、普通のホールではありません。フローリングにならんだ椅子に座ると前席の人の背中でスクリーンが見えないようでは困ります。

それで、いろいろと並べ替えて検討した結果、席数は120名から130名となりました。また、スクリーン前の20人ほどは、シートを敷いて平場に座ってもらうことにしました。平場のためにクッションも用意することになりました。このように会場で検証してみて分かることがたくさんあります。スタッフは何回か会場に現地調査に行かれることをおすすめします。

また、リマインドメールで会場の一部が平場になることは伝えておきました。


上映機材、PA機材を確かめる

映画の上映会ですから、映像と音のクオリティはとても重要です。自主上映会に行くと、大きな会場なのにプロジェクタが会議室用の小さなもので、大丈夫かなと思う時があります。戸塚地域センターの場合、天井吊り型のかなり大きなプロジェクタが設置されていましたので安心しました。実際にテスト上映映してみると映像も音も素晴らしいクオリティでした。

事前に会場の方から、昼間は日差しが入って映像が見えにくくなると言われていました。確かに会場背面のガラスにカーテンがなく、ここから日差しが入るとスクリーンが明るくなってしまいそうです。上映会の開始時刻を夜に設定したのはそれが理由です。子育て世代には土曜か日曜の午後が適切だと思いましたが仕方ありません。

トークには司会を含めて3名が登壇するのでマイクは3個必要です。そのテストもすませて準備万端。このとき良かったと思ったのは、映像・音響機材を担当するスタッフがいたことです。細かいことですが、こうした失敗の許されない部分を任せられるスタッフがいるのは本当に助かります。


AEDと非常口の確認

スタッフの打ち合わせで私が唯一強くお願いしたのは、あらかじめAEDの場所、非常階段、会場照明のスイッチを全員が覚えておいてくださいということでした。イベントをやって、病人が出る、けが人が出る、災害が起きることは仕方ありません。しかし、その対応ができなかったとしたらそれは一番の後悔になるのではないでしょうか。イベントで多くの人を集めるということは、それだけ多くの人の安全に責任を持つということでもあると思います。

cp.6 当日の受付まわり


物販(パンフレット、書籍)する

最初に「隣る人」を見たとき映画館でパンフレットと書籍を買い、内容にいたく感動しました。特にパンフレットにはセリフの書き起こしがあって、聞きとれなかった会話を確認するためにとても役に立ちました。それで、これらを上映会でも販売したいと思い、企画の稲塚さんに相談したところ、委託販売することになりました。

委託販売というのは仕入れ値で販売する代わりに売れ残ったら返却してもいいという制度です。つまり、販売するこちらには利益は残らないのですが、売れ残りのリスクも負わないというわけです。一方、買い取りの場合は利益をつけて販売することはできますが、売れ残りは引き取らなければなりません。

今回はパンフレット販売は参加者サービスの一環という位置づけでしたので委託販売にしました。

会場での物販したのは以下です。

  • 「隣る人」パンフレット
  • 「隣る人」一筆箋
  • 「誰がこの子を受けとめるのか」菅原先生の書籍
  • 「きみとうたった愛のうた」りさりさんのマンガ
  • 「いつか見た青い空」りさりさんのマンガ

りさりさんは児童養護施設出身のマンガ家で、物販したこの2冊は自らの児童養護施設での経験を描いた作品です。稲塚さんの勧めで読んでみてやはりいたく感動したので取り扱うことにしました。

物販をすると、早い時期に大きなダンボール箱が何個も届いて、自宅に保管する必要があります。また、売れ残りを返却するために発送料がかかります。売上の振込手数料も必要になります。手間もコストもそれなりにかかるということを考えて、検討してください。


受付の流れとお釣り、領収書

受付はどうしても開始の10分前が混雑のピークになります。それを想定して、受付の人数を揃えるべきだと思います。

といっても数多くのイベントを経験してきたCAPユニットのスタッフが手際よくやってくれましたので、私はほとんど考える必要がありませんでした。受付や会計まわりをすっかりおまかせ出来るスタッフがいたことは本当に助かりました。

受付は以下の流れでした。

来場>受付>氏名チェック>支払い>(お釣り)>物販>会場誘導

要予約のイベントだったので氏名チェックが必要でした。また、リマインドメールで「受付が混雑しますので早めのご来場」と「お釣りのないようにご用意ください」とのお願いをしておきました。

支払いはワンコイン(500円)でしたが、物販があったので最低限の小銭をスタッフが銀行で用意してくれました。領収書が必要な方はほとんどいませんでしたが、取材や調査などで参加の方もいるかと思い領収書を用意しました。


ファイルを参照


アンケート

上映会をやったら来てくれた方の感想は聞きたいもの。それに新宿区への報告書にもアンケート結果は出さなければなりません。それで質問票をつくることにしたのですが、心がけたことは短くシンプルに不要なことは聞かないということでした。


ファイルを参照

上映会が終わって回収したアンケートを見ると、いずれもかなり書き込まれており、回収率も50%以上。こんなに熱意のあるアンケートは初めてでした。終わってから早速スタッフで回し読みして感激を新たにしました。

2ヶ月間かかりましたが私は集計結果とすべてのコメントを、facebookページに掲載しました。それはコメントを書いてくれた人は、他の人がどう思っているのかに興味が有るのではないかと思ったからです。

https://www.facebook.com/tonaru.hito.shinjuku


チラシの挟み込み

イベントをやると各方面からチラシの配布を頼まれますが、今回は「光の子どもの家」と「CAPユニット」のチラシのみを配布しました。イベントに行く度に思うのですが、大量にチラシを渡されても興味のないものは結局ゴミになるのかと思うと、エコ的に後ろめたくなるのです。

そういうことで部数が少なかったので挟み込み作業は会場に入る1時間前に集まって、廊下でできました。


当日のプログラムとご挨拶

会場でのご挨拶はCAPユニットのMさんが、簡単な映画の説明と上映のご注意(携帯電話オフ)をしました。主催者のあいさつはなしです。

これから映画を見るにあたって予断を与えたくないということがあり、シンプルにしました。当日の進行や物販についてなどはプログラムに記載しておき、必要な人が読めばいいということにしました。


ファイルを参照


申込なしで来た人をどうするか

チラシやウェブに「要申し込み」と書いてあるのですが、それでも申し込みなしでいらした方が10名ほどいました。それで、会場に人数制限があること、きちんと予約をしている方がいること(席順のことなど)を考えて以下のようにしました。

  • 上映開始の5分前まで受付前で待ってもらう
  • 5分前に来場者数を確認しキャンセルがあったらその人数だけ来場してもらう

ということですが、結局は全員入場できました。

ところで、上映会には「小学生低学年の入場は不可」との条件がありました。ナレーションもテロップも音楽もないこのドキュメンタリー映画は、小学生低学年には退屈ではないかと考えたのです。

ですが、明らかにそれくらいのお子さんを連れてきた方がいました。確認したところやはりそう。その条件はお読みになっていないとのこと。

私としては「この条件があるので参加を諦めた人がいるのかもしれない」また、「今日この会場にいる人の中には、子どもの世話を何とか手配して来ている方がいるかもしれない」と思っていました。それで、「しかたありません、どうぞ」とするわけにいかなかったのです。

お母さまといろいろと相談して「席は確保しておくが明るいうちは最後列にいてください、会場が暗くなってから席にご案内します」ということになりました。とにかくイベント当日というのはいろいろなことが起きるものです。基本態度をおさえつつ臨機応変にということですね。

cp.7 アフタートークについて


トークのテーマを決める

今回の上映会では映画上映後に、企画の稲塚さんとCAPユニットの門馬さんによるアフタートークを行いました。「隣る人」は児童養護施設の日常を映すドキュメンタリーでしたので、児童養護施設についてがテーマとなりました。

門馬さんはCAP(児童虐待防止プログラム)の講師で各地の児童養護施設に何度も足を運んでいます。

打ち合わせのときトークの方向性について私が特に希望したのは、児童養護施設という特殊な環境についての話に収斂させず、一般的な子育てという方向に広がっていくようにしてほしいということでした。

私がこの映画を上映したいと思ったのは、施設の子たちを可哀想と思って欲しいわけではなく、福祉政策の課題を糾弾することでもありません。ここに映されているのは一般的で普遍的な大人と子どもの関係です。ごくふつうの保護者がこの映画を見て、自分の子育てのあり方を少しでも振り返ってもらえればと思ったのです。

パネリストのお二人と司会のMさんはしっかりとそうしてくれました。実際にいろんな方から、アフタートークでより映画の理解や感動が深まったという声を聞きました。ただ、アフタートーク終了が21:10と遅かったため、映画だけ見て帰ってしまう人が多かったのは気になりました。


来場者からの質問受付

打ち合わせでは会場からの質問をどう受け付けるかが話題になりました。あらかじめ「トークでの質問」というペーパーに記入してもらい、司会が選別してパネリストに振るという方法がいいのではとなりましたが、結局、時間がなくて手を上げてもらう方法になりました。

しかし、なかなか質問する人がいなくて2名にとどまったのが残念です。今後は会場とのやりとりがもっと活発になるような工夫をして行きたいと思いました。


cp.8 イベント終了時に必要なこと


うちあげ会

やはりイベントをやったら打ち上げはしたいものですよね。スタッフと映画関係の人や来てくれた知人と、映画について語り合いたいものです。私たちも近所の居酒屋でやりました。

しかし、残念だったのがイベントの終了が10時過ぎで、それから宴会でしたので、ちょっと飲んだらもう終電という時刻だったことです。次回はもっと早めに始めたいです。


報告書を作成する

上映会が終了した翌日は充実感でいっぱいでしたが、すぐにやらなければならないことがあります。後援をいただいた新宿区に完了報告を提出しなければなりません。新宿区に提出した報告書は以下です。


ファイルを参照

  • 後援事業の完了報告書(区役所の書式)
  • 報告書(団体の書式)
  • 収支表
  • アンケート集計結果

完了報告はイベント終了から1週間以内にと言われていましたが、先方から上映料の確定、物販の会計などの連絡待ちがあり、しかも年末年始を挟んでだったので、提出できたのは2週間後でした。同様の報告書を共催団体と協力団体にも郵送しております。


上映料の支払い、物販の処理

上映が終わったら配給会社に参加人数と販売したパンフレットと書籍の部数を報告して、支払金額を連絡してもらわなければなりません。あらかじめ送ってもらった定型フォームに記入してメールで送信。3日後に連絡がありました。銀行でその振込を使用としたら500円玉が多すぎでATMでは出来なかったのは勉強になりました。その後、残りの書籍を発送して完了です。


収支の結果を作成する

実際の収支が計画と違うのは仕方ありません。大幅な違いがなければいいのですが、計画にない項目や金額が大幅に違う場合は説明書きをつけるべきでしょう。助成を受けている場合は、返金を求められる場合もあると聞いています。


領収書の保管

収支には各項目の領収書などの裏付けが必要です。すべてのレシートは保管しておかなければなりません。また、交通費は、支払った本人に領収書を書いてもらう必要があります。

領収書やレシートは提出する必要はありませんが、求めに応じていつでも提出できるようにしておく必要があります。保管期間は一般的には3年間と言われています。


アンケートの集計とアーカイブ

いろいろな自主上映会やイベントでアンケートを書くように求められますが、たいてい主催団体の内部でだけ情報共有されている場合が多いと思います。私は、それではもったいないと以前から感じていました。

なのでこの上映会では、アンケートの集計結果を1週間後にfacebookページで公開しました。また、アンケートのコメントも2ヶ月後にfacebookページで公開しております。

https://www.facebook.com/tonaru.hito.shinjuku


いかがだったでしょうか。ひとりの思いつきから始めたイベントを、何人かの仲間を集めて、地元の地域センターでやったらこうなったという参考にしていただければ幸いです。

私はこの経験があまりに楽しかったので、また今年もやろうと計画しています。そして、これからもできれば年に1回はどれかの映画を上映したいと思っています。そのために今日も各地の自主上映会を巡っております。世の中には同好の士が多いものだとあらためて感じています。

ご意見、ご質問、間違いのご指摘など歓迎です。いつでもご連絡ください。今後ともみなさまの活動が実り多いものであることをお祈り申し上げます。

(2015年5月 千野雅則)

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